
信用は信用を再生産する
本書には、会社や起業の原点ともいうべき内容が書かれてある。奢りなく、理知的かつ明瞭な文章で色褪せない。
その辺に平積みされているビジネス書やマーケティング論よりもよっぽどためになるのではなかろうか。
戦略主義、利益偏重主義にみられる、日本企業の短絡的な欧米化現象に筆者は異議を唱える。
市場を戦場に見立てて攻略するという手法や、勝ち負けにとらわれずに、もっと本質的に大切なものがあるのではないかと。
「戦略は金で買えるが、動くのは社員である」と言った、会社役員の言葉が印象的であった。
モチベーションや評価・給与の章などは、精神論としてもすばらしい。
本書は明日から実行できるようなハウツー本ではない。また、投資サイドから見た会社を語る本でもない。
しかし、不況や閉塞感を感じる中で、商いの原点に立ち返って企業のあるべき姿を論じた良書である。
サラリーマン、経営者、起業家に広くおすすめしたい。